「求人を出しても応募が来ない」という声は、さまざまな企業でよく聞かれる問題です。
本記事では、求人広告の見直しや採用プロセスの改善など、求人がうまくいかない時に見直すべき5つのポイントについて触れていきます。
人手不足の背景
現代の社会では、人手不足が深刻な問題となっています。
有効求人倍率が高く、労働力の供給が需要を上回っているため、企業が求人を出しても応募が来ないという状況が生まれています。
人手不足に陥りがちな原因として考えられるのは以下の3つです。
- 少子高齢化:労働人口が減少。特に地方では人手不足が深刻化
- 地域差:大都市圏への人口集中が進み、地方の労働人口が減少
- 業種差:特に建設、情報通信、医療福祉など。これらの業種では、求人倍率が3倍以上になることも
現在、厚生労働省が公表したデータによれば、有効求人倍率は1.23倍(2024年6月時点)で、求人数は増加傾向にあります。
これはつまり、日本国内において求人広告の量に対する求職者数が少なく、求職者にとっては仕事を見つけやすい状況と言えますが、企業にとっては求職者の取り合いになっているような状況ということです。
このような状況を踏まえて、企業は人手不足に対処するために戦略的な採用活動を行う必要があります。
参考:厚生労働省/有効求人倍率
飲食店の求人応募が来ない?
飲食業界では、有効求人倍率が他業界に比べて非常に高く、人手不足が深刻化しています。
全体の有効求人倍率が1.23倍なのに対し、飲食物調理従事者は2.67倍、接客・給仕職業従事者は2.89倍です(2024年6月時点)。
また、離職率においては、全業種平均が15.0%のなか、飲食業界の離職率は全業種の中で最も高い26.8%となっています(令和4年度データ)。
このような状況を改善するために必要なこととして考えられるのは、スタッフがいい環境で働くためにも、魅力的な福利厚生や働きやすい環境を提供することです。
また、有料の採用支援サービス(求人広告や人材派遣など)を積極的に利用することで、よりよい採用活動を行うことが可能になります。
建設業も求人応募が来ない?
建設業も人手不足が深刻で、有効求人倍率が特に高い業界です。
厚生労働省のデータによると、建設・採掘従事者全体の有効求人倍率は4.80倍、その中でも特に建設躯体工事従事者(とび職や鉄筋組立など)は8.38倍と驚異的な数字です。
この深刻な人手不足により、建設業界では過重労働や品質の低下など、深刻な問題が報告されています。
この人手不足の原因は、高齢化と若者不足です。建設業の就業者の36%が55歳以上であり、29歳以下はわずか12%しかいません(令和3年10月時点)。
ベテラン層が引退し、若者の数も減っていくため、技術継承や即戦力の確保がますます難しくなります。
低賃金と労働条件の悪さも、建設業の人手不足の原因の一つです。
日給制の採用やキャリアアップシステムの不透明さにより、収入が安定せず、給料が低くなりやすくなっています。
また、建設業では長時間労働が多く、労働条件も厳しいため、若者の離職率も高くなっています。
建設業の需要は増えていますが、人手不足問題が解決されないと、1人当たりの負担が大きくなり、離職率もさらに上昇する恐れがあります。
また、建設業は肉体労働が多く、作業場所が汚い・作業環境が危険というイメージがありますので、若者の興味も減少してしまいます。
これを改善するために、国土交通省はキャリアアップシステムの導入や生産性を向上するための仕組みなど、国を挙げてさまざまな対策を講じています。
参考:厚生労働省/有効求人倍率、国土交通省/最近の建設業を巡る状況について
求人を出しても応募が来ない理由
では、どの業界においても言える「求人を出しても人が来ない」とされる理由について見ていきましょう。
- マッチしていない求人媒体を利用している
- 求人情報の掲載の仕方に問題がある
- 求人の反響の振り返りをしていない
- 募集のタイミングが求職者の活動時期と合っていない
- 選考フローが長すぎる
マッチしていない求人媒体を利用している
求人広告を出す際には、自社のターゲットとなる人材が応募してくれそうな求人媒体を選ぶことが大切です。
求人媒体ごとに求職者層が異なるため、エリアや業種、職種などの条件を考慮して選定しましょう。
自社で選定するのが難しい場合は、求人広告の代理店を活用すると、適切な媒体の選定やマッチング情報の提供を受けることができます。
求人情報の掲載の仕方に問題がある
求人情報の掲載の仕方と言っても、内容はさまざまです。
どのようなことに気を付ければいいのか、以下に簡潔にまとめていきますね。
掲載について気を付けるべき項目 | 理由 |
---|---|
採用したい人物像が明確かどうか | 他社との差別化ができなくなるから |
仕事内容が明確かつ詳細に記載されているかどうか | 具体的な業務や企業についての情報が少ないと、求職者は不安に感じるから |
企業の魅力が伝わっているかどうか | 求職者が魅力を感じないと、入社後の勤務状況を具体的にイメージできないから |
ネットで公開している情報が最新かどうか | 求職者は、求人サイトの情報だけでなく、自社のウェブサイトの採用ページもチェックするから |
具体的に求人情報の掲載内容を考える際は、以下の記事も参考にしてくださいね。
求人の反響の振り返りをしていない
求人広告を出しても反応が悪い場合は、原稿を見直す必要があります。「条件が同じだから」などと手を抜いてはいませんか?
求人広告の効果は数字で測れるので、広告の効果を上げていくためにも以前の求人掲載についての反応を確認することが重要です。
もし反応が悪かった場合は、媒体の選定や広告のサイズ、掲載内容などを再度チェックし、改善策を考えましょう。
検索性を高めるオプションなどを追加することで、問題の解決に近づく可能性があります。
募集のタイミングが求職者の活動時期と合っていない
応募が来ないのは、求人の掲載時期が求職者の活動時期と合っていない可能性もあります。
中途採用では、求職者の転職活動が活発になる時期があります。
時期 | 求職者の行動パターン |
---|---|
1〜2月 | 新年度の4月からの転職を見据えて活動をスタートする |
6〜7月 | 夏の賞与を受け取った後に転職活動が盛り上がる |
9〜10月 | 下期からの再スタートを見据えて転職活動が増える |
急な欠員補充でない限り、上記の時期に求人を掲載すると良いでしょう。
また、求人を効果的に掲載するためには、ピーク時に掲載できるよう、利用する媒体の見積もりや契約手続きは早めに行いましょう。
選考フローが長すぎる
求職者は、面倒な手続きが必要な求人にはあまり興味を持ちません。まずは自社の応募フローを見直してみましょう。
特に複数の面接を設定している場合は、最初の面接をオンラインで実施するなどで、応募者が気軽に参加できるように工夫することも視野に入れてみましょう。
採用が上手くいかないときに見直すべき5つのポイント
採用が上手くいかないときに見直すべき5つのポイントを詳しく説明していきます。
- マッチした求人媒体に変更する
- 求人内容の見直しを行う
- 採用支援サービスを利用する
- ターゲットの見直しをする
- 会社の魅力を最大限伝える努力をする
マッチした求人媒体に変更する
業界や求める人物像、スキルなどによって、最適な採用チャネルが異なります。
自社とマッチした求人媒体や採用チャネルを選ぶことが重要です。
「採用チャネル」とは、企業が求職者にアプローチする経路のことです。
現在、求職者のニーズが多様化しているため、採用チャネルも多様化しています。
- 各種求人媒体(就職・転職サイト、Webサイト、求人誌など)
- ハローワーク(公的機関による就職・転職支援)
- 企業ホームページやオウンドメディア
自社にマッチした採用チャネルを選ぶためには、採用コンサルティング会社や求人広告の代理店に相談することもおすすめです。
自社だけで考えず、プロに聞くことで、経験や知識を活用した最適な採用チャネル提案を行ってくれるでしょう。
求人内容の見直しを行う
応募者が転職を考える際には「給与」「勤務地」「休日」などの条件が重要です。
そのため、自社の求人内容を見直して、以下のポイントに気をつけましょう。
- 必要な情報を漏れなく記載しているか
- 読みやすくわかりやすい表現になっているか
- 具体的な数字や事実を使って説明しているか
具体的な情報を提供することで、応募者の関心を引きやすくなります。給与や勤務地、休日などの条件については、具体的な金額や地域名を記載し、明確に提示しましょう。
また、具体的に数字で示すことで、信頼度の高い広告を作成でき、求職者が入社後を具体的にイメージしやすくなります。
採用支援サービスを利用する
戦略的な採用で人材不足の解消を目指す場合、「採用支援サービス」の活用がおすすめです。
このサービスは、企業の採用担当者に代わって採用代行業者がさまざまな支援を行います。
採用代行 | 適切な媒体の選定や書類選考、選考プロセスの調整など、採用の実務を代行 |
研修サービス | 新入社員向けの研修や、内定者向けの研修プログラムなどを企画・運営するサービス |
ダイレクトソーシング支援 | 求職者データベースやSNSを活用して、採用ターゲットにアプローチする採用実務の支援や代行 |
チャットボット面接マッチング | 面接に至る前に、チャットボットを活用して面接のマッチングを行う |
採用支援サービスの活用により、自社が十分な採用リソースを持っていなくても、効率的かつ効果的な採用を実現することができます。
ターゲットの見直しをする
「いい人が来ない」そんなお悩みがある場合は、まずは“いい人”とはどんな人なのかを明確化してみましょう。
そのためには、自社の求める人物像を明確にすることが必要です。そしてその内容を具体的に求人情報に反映することが大切です。
また、異業界や異職種のスキルを活かせる仕事であれば、具体的な職種名を出すことも効果的です。
しかし、掲載内容に規定もあるため、求める人材の人格などを掲載に入れ込んでしまわないように注意しましょう。
また、数多くの求人情報の中から選んでもらうためには、工夫も必要です。
競合他社を調査し、どの部分が他社よりも優れているかを見つけて、掲載内容に盛り込みましょう。
会社の魅力を最大限伝える努力をする
会社の魅力を伝える方法は数多く存在します。それは求人広告だけでなく、WebサイトやSNS、販売促進広告なども対象となります。
特に、求職者は求人情報はもちろん、企業のホームページやSNSを検索して、入社のイメージが湧くかどうかをしっかりと見ています。
知名度を上げることはもちろん、いいイメージを訴求できるように、世の中に露出しているあらゆるツールを見直しましょう。
まとめ
求人がうまくいかない時には、求人広告の見直しや採用プロセスの改善など、さまざまなポイントを見直す必要があります。
「採用が上手くいかないときに見直すべき5つのポイント」を参考に、効果的な対策を行っていきましょう。
また、弊社では人材紹介・人材派遣会社さま向けに、さまざまな求職者集客サービスを行っています。
「求職者をもっと集めたい」とお悩みの企業さまは、ぜひお気軽にご相談くださいね!
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