「中堅がいない会社」は危険？ 若手とベテランしかいない職場で起こる問題とは

事業を次世代に繰り続ぐためにも、企業における年齢構成は重要です。
しかし、中堅層の社員が欠如し、若手とベテランしかいない会社も増えています。

本記事では、中堅がいない会社の特徴や原因、問題点、そして転職時に確認すべきポイントを詳しく解説します。

中堅がいない会社とは？

中堅がいない会社とは、30代〜40代の経験豊富な社員が少なく、20代の若手社員と50代以上のベテラン社員が中心となっている職場を指します。
通常、企業の組織は、若手・中堅・ベテランがバランスよく配置されることで、業務の円滑な進行やノウハウの継承が可能となります。

若手 (20代)	実務を知り、技能を高める
中堅 (30代〜40代)	若手の指導やマネジメント、専門性の高い仕事の担当
ベテラン (50代〜)	企業経営の方針決定やサポート

しかし、中堅がいない職場では、若手とベテランの間に大きなギャップが生じることがあります。
若手社員は、経験を積むための適切な指導が受けられず、またベテラン社員も自らの業務と新人育成を両立させる必要があり、負担が増大します。

中堅がいない会社になってしまう理由

以下では、中堅がいない会社が存在する理由について解説していきます。

退職者が多い

企業によっては、30代〜40代の中堅層がキャリアアップや待遇改善を求めて転職しやすい傾向があります。
特に、給与や昇進の機会が限られている企業では、優秀な社員が流出しやすくなります。

また、職場の人間関係や労働環境が悪い場合も、社員が定着しにくくなる要因となります。

就職氷河期の影響

2000年代前後の就職氷河期に採用を抑制していた企業では、その世代の社員が極端に少ないケースがあります。
その結果、現在の中堅層が不足し、若手とベテランの二極化が進んでしまいます。

特に、長年採用を抑えていた企業では、特定の年齢層が極端に少ない構造になりがちです。

近年になって新卒採用を本格化したため

長らく採用を抑えていた企業が、近年になって新卒採用を強化した場合、若手社員の割合が急増し、中堅層が不足してしまうことがあります。

新卒社員を積極的に採用することは企業にとってプラスですが、中堅層を同時に補充しなければ組織のバランスが崩れ、若手の成長をサポートする環境が整わなくなってしまいます。

未経験の中途採用は若手が優先されるため

中途採用において、未経験者を採用する際は若くて体力のある20代が優先されることが多いです。
その結果、中堅層の補充が進まず、組織の年齢バランスが崩れることになります。

また、即戦力として求める30代経験者の採用ターゲット層は非常に狭くなっています。
そのため、中堅層が不足しやすく、結果的に組織の年齢バランスが崩れる要因となってしまうのです。

中堅がいない会社の問題点

中堅がいない会社には、どのような問題があるのでしょうか。
以下で解説していきます。

新人育成の課題

中堅社員がいないと、若手社員の指導役が不足し、OJT（オン・ザ・ジョブ・トレーニング）が機能しにくくなります。

新人はベテラン社員に直接指導を受けることになりますが、業務が忙しいベテランにとっては負担が大きくなります。
その結果、新人の成長が遅れ、業務の質が低下する可能性があります。

社員の入れ替わりが激しくなる

中堅社員が少ない職場では、キャリアアップの機会が限られ、若手社員も成長を感じられずに早期離職してしまうケースが増えます。
結果として、社員の入れ替わりが激しくなり、業務の安定性が損なわれます。

特に、企業文化が根付いていない場合、組織の一体感が損なわれ、長期的な成長が困難になることもあります。

ベテラン社員への負担増加

中堅がいないことで、ベテラン社員に業務の負担が集中しやすくなります。
指導やマネジメントの負担が増え、結果としてベテラン層のモチベーション低下や離職にもつながる可能性があります。

特に、ベテラン社員が退職した場合、社内のノウハウが一気に失われるリスクが高まります。

転職前に確認しておくべきポイント

以下では、転職前に確認しておくべきポイントについて解説していきます。

職場の年齢構成を確認する

転職を考える際は、会社の年齢構成を確認しましょう。
企業の公式サイトや採用ページ、会社説明会などを活用して、どの年齢層の社員が多いのかをチェックすることが大切です。

また、実際に働いている社員のインタビュー記事やSNSでの投稿なども参考になります。
特に、30代〜40代の中堅層が少ない場合、昇進やスキルアップの機会が不足し、長期的なキャリア形成が難しくなる可能性があるため、慎重に判断しましょう。

教育・スキルアップ制度の有無を確認する

中堅社員がいない職場では、成長機会を自ら確保することが重要です。
具体的には、社内研修の有無や、外部研修の補助制度、資格取得支援などが整っているかを確認するのがポイントです。

特に、OJT（オン・ザ・ジョブ・トレーニング）だけに頼る企業では、指導する中堅層がいない場合、スムーズなスキルアップが難しくなる可能性があります。
会社がどのように社員の成長をサポートしているのか、具体的な制度や実績をチェックしましょう。

離職率や口コミを確認する

離職率は企業の安定性や職場環境を判断する重要な指標の一つです。

特に、30代〜40代の社員の離職が目立つ場合、キャリアアップの機会が少ない、または職場環境が原因で定着しにくい可能性があります。
転職サイトの口コミや企業の採用ページをチェックし、職場の実態を把握しましょう。

また、実際に働いている社員の生の声を聞くことで、よりリアルな職場環境を把握できるでしょう。

まとめ

中堅がいない会社は、新人育成の課題や社員の定着率低下、ベテラン層の負担増加といった問題を抱えがちです。
転職を考える際には、職場の年齢構成や教育制度、離職率などをしっかり確認し、自分にとって最適な環境を見極めましょう。
適切なキャリア選択をすることで、長期的に安心して働ける職場を見つけることができます。