ペットポータルサイトを構築する前に~コンセプト設計について解説~




ペットの病院を探したいな。



旅行の間にペットを預けられるところはないかな?
などと思った時に便利なのが『ペットポータルサイト』。
施設の基本情報はもちろん、多様な検索機能や予約システム、口コミなど、さまざまな機能が求められます。
では、そんな『ペットポータルサイト』の現状と課題は何でしょうか?
また、サイト運営を成功させるためには、どのようにコンセプト設計をすればいいのでしょうか?
20年以上ポータルサイト構築に携わる弊社の目線で、サイト構築についてはもちろん、成功事例や運用方法などを解説していきます。
弊社で制作を行う場合の費用なども記載していきますので、良かったら参考にしてくださいね。
ペットポータルサイトとは?


まずはペットポータルサイトの定義から見ていきましょう。
ペットポータルサイトの定義
ペットポータルサイトとは、ペットに関する情報やサービスを一元的に提供しペットとの生活を支援するWebプラットフォームです。
単なる読み物を集めたメディアサイトや、交流が中心のSNSとは異なり、ポータルサイトは多様なニーズを集約し、信頼できる情報やサービスへとスムーズに導く“入口”としての役割を担います。
具体的には、犬種・猫種別の飼育情報、動物病院やトリミングサロンの検索、里親募集や譲渡会の情報、ペットグッズの購入、獣医師監修のコラムやQ&Aなど、幅広い機能を持ちます。
重要なのは、「なんでも詰め込む」ことではなく、ユーザー目線で必要な情報や機能が整理され、課題解決につながる導線があることです。
信頼性・利便性・継続性を兼ね備えたポータルサイトであれば、ペットオーナーにとって“困ったときにまず訪れる場所”としての存在感を発揮するでしょう。
近年のペット市場 変化と課題
近年、日本のペット市場は顕著な変化を遂げています。
統計によれば、犬の飼育頭数は2013年度は約871万頭だったのに対し2024年度は約680万頭と減少傾向にある一方、猫は2013年度は約841万頭だったのに対し2024年度は約916万頭と微増を維持しています。
特に2020年度・2021年度の猫の新規飼育率が他の年度よりも高く、コロナ禍で孤独感を感じて触れ合いを求めたり、外出を控えるが故に家の中で過ごすことが増えたことが背景にあるのではないかと考えられます。
また、他の背景としては、都市部での集合住宅の増加に伴う飼育制限や、小型犬・猫の人気上昇が影響していると考えられます。


参考:令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査|一般社団法人ペットフード協会
また、ペット用品についても興味深いデータがあります。こちらの表をご覧ください。


引用元:ペットブームは頭打ち?|経済産業省
この表にもあるように、コロナ禍だった2019年~2021年を見ると一気に販売額が上昇しているのがわかりますが、そこからは販売額が落ち付き、横ばいになっているのがわかります。
ペット市場の景気が悪化している様子ではないものの、引用元のタイトルにもある通り“頭打ち”になっている傾向はあるのかもしれません。
しかし、上昇した頃のデータを読み解くと、ペット数が増える上昇率よりも販売額の上昇率の方が高いことから、ペット1頭あたりの生活の質が上がったということは考えられるのではないでしょうか。
しかし、課題も浮上しています。
ペットショップにおける衝動買いの促進や、販売後のサポート不足などが指摘されており、これらは飼育放棄や殺処分の増加につながる可能性があります。
さらに、ペットの高齢化に伴う医療費負担の増加や、ペット可住宅の不足など、飼い主が直面する問題も多岐にわたります。
今後のペット市場の持続的な発展には、これらの課題解決が不可欠です。
具体的には、適切な情報提供による飼い主の意識向上、法規制の強化、ペット共生型住宅の推進など、多方面からの取り組みが求められています。
ペットポータルサイトを新しく立ち上げるのに考えておきたいこと


もうすでに世の中に数多くのペットポータルサイトが立ち上がっていますが、現状としてはどのような課題があるのでしょうか?
ペットポータルサイトが抱える問題点や、解決方法について見ていきましょう。
ペットポータルサイトが抱える問題点
ペットポータルサイトはユーザーにとって便利ではありますが、いくつかの課題も抱えています。
まず第一に挙げられるのが“情報の信頼性”です。
個人の体験談や口コミに頼りすぎた内容では、誤った情報が広まるリスクがあり、特に健康やしつけに関する内容ではトラブルの原因にもなりかねません。
SNSやブログ、YouTubeでは、飼い主の個人的な経験や主観的なノウハウが多く発信されています。
一部の内容はとても参考になりますが、科学的根拠や専門的裏付けがない情報が感情的に拡散されるケースも多いのが現状です。そのため、情報に誤解を生む表現が含まれていたり、間違った情報が流れやすくなってしまっています。
また、ポータルサイトとしての“情報の分散と煩雑さ”も問題の一つです。
ペット市場にはさまざまなジャンルの商品がありますが、幅広いサービスを扱うがゆえ、ユーザーが求める情報にたどり着きにくい設計になっているケースが多く、ユーザー離れの一因となっています。
“全部載せ”スタイルのポータルサイトはターゲットの絞り込みが甘いため、“誰にも響かないサイト”になってしまう恐れがあるのです。
さらに、収益モデルの多くが広告依存であることも課題です。
これはペットポータルサイトに限ったことではありませんが、広告主へ配慮することが情報の中立性を損なう懸念や、ユーザーの利便性よりも広告効果を優先した構成になってしまうこともあります。
広告だけに頼ることなく、ポータルサイトをコンテンツ化してユーザーから利用料をいただいたり、広告以外のページの質を上げることで、広告をただの広告ではなく情報として認識してもらえるよう工夫することが必要になるでしょう。
ペットポータルサイトの課題を解決するには
前述の通り、現在ペットポータルサイトには“情報の信頼性やわかりやすさ”における課題が浮き彫りとなっています。
その解決策として考えられることは2つあります。
1つは監修体制の強化です。
ネット上にはたくさんの情報があふれていますが、中には根拠のあいまいなものや、誤解を招く内容も少なくありません。
こうした不安を解消するには、獣医師やトレーナーなどの専門家がきちんと内容を監修し、信頼できる情報であることを分かりやすく示す工夫が大切です。
もう一つは、コンセプト設計の強化です。
現状のペットポータルサイトでは情報が多すぎて「どこを見ればいいのか分からない」という声もあります。
そんな時は、ユーザーの目的に寄り添ったカテゴリ分けや検索機能、マイページによる情報の整理などで、使いやすさを高めていくことが効果的です。
また、広告収益だけに頼らないサイト運営を行うには、コンセプトに合った情報提供を行うことがユーザーの支持に繋がり、サイト自体に“価値ある体験”を盛り込むことで安定した運営につながります。
大切なのは、ユーザーに「また使いたい」と思ってもらえるサイトに育てていくことです。
コンセプト設計の強化例
①ターゲットを「シニア期のペットを飼っている家庭」とする場合
価値提供できる情報を「介護」、「栄養」、「看取り」などに関するものに絞り専門性を出す
②ターゲットを「動物の保護活動に関心のある人」とする場合
価値提供できる情報を「譲渡会」、「里親として迎えたときの心構え」などに絞り専門性を出す
サイトのコンセプト設計を強化するには


では実際にポータルサイトのコンセプト設計を強化するために必要な要素を分析していきます。
何よりもまず必要なのは、競合他社分析ですね。
競合となる代表的なペットポータルサイト
いぬのきもち / ねこのきもち


引用元:いぬのきもち / ねこのきもち
いぬのきもち / ねこのきもちは、ベネッセグループが運営する犬猫オーナーのための情報サイトです。
しつけや健康管理、ごはん、暮らしの工夫など、毎日の「ちょっと気になること」に寄り添うコンテンツがそろっています。獣医師や専門家が監修している記事も多く、初めてペットを迎える方でも安心して読めるのが大きな魅力です。
かわいい動画や共感できるエピソードもたくさんあり、「うちの子のために、もっと知りたい」と思ったときに気軽に訪れたくなるサイトです。
ターゲットは、犬や猫を家族の一員として大切に育てている20~50代の飼い主さん。
コンセプトは、“ペットともっと幸せに暮らすための、やさしくてためになる情報の場所”。
雑誌やアプリとも連動し、日々の暮らしにそっと寄り添ってくれる存在です。
E PARK ペットライフ


引用元:E PARK ペットライフ
EPARKペットライフは、ペットと暮らす飼い主さんのための便利な情報サイトです。
動物病院やトリミングサロン、ペットホテルなど、全国の施設を検索・予約できるのが大きな特徴。
診療内容や設備、診療対象の動物など、細かな条件で探せるので、「うちの子に合った場所」が見つかるサイトです。
ほかにも、ドッグランやしつけ教室など、お出かけや日常に役立つ情報も充実。
忙しい中でもスムーズにペットのケアができるよう、飼い主さんをサポートしてくれる心強い存在です。
ターゲットは、愛犬・愛猫を大切に育てている幅広い年齢層の飼い主さん。
コンセプトは、“ペットとの暮らしを、もっと便利に、もっと楽しく”。
「近くにいい病院あるかな?」と思ったときに、気軽に使いたくなるサイトです。
peco


引用元:peco
PECO(ペコ)は、犬や猫などのペットと暮らす方々に向けて、楽しく役立つ情報を提供する国内最大級のペット専門サイトです。
サイトでは、かわいい動画や画像、しつけや健康に関する記事、さらには漫画など、多彩なコンテンツが満載。
特に、ペットの魅力を伝える動画コンテンツが豊富で、忙しい日常の中でも癒しのひとときを提供しています。
また、スマートフォン向けのアプリも展開しており、移動中やちょっとした空き時間にも手軽に楽しめます。
ターゲットは、ペットを家族の一員として大切に思う全ての飼い主さんや、これからペットを迎えようと考えている方々。
コンセプトは、「ペットとの毎日がもっと楽しくなる」。
ペットとの生活をより豊かに感じられるよう、心温まるコンテンツや実用的な情報を提供しているサイトです。
sippo


引用元:sippo
sippo(シッポ)は、朝日新聞社が運営する、犬や猫との暮らしをサポートするウェブメディアです。
しつけや健康管理、保護犬・保護猫の迎え方など、ペットとの生活に役立つ情報を幅広く提供しています。
また、動物愛護に関する記事や、ペットと人が共に幸せに暮らすためのプロジェクトも展開しています。
ターゲット層は、犬や猫を飼っている、またはこれから飼おうと考えている全ての方々です。
コンセプトは、「犬や猫ともっと幸せに」。
人とペットが共に豊かな生活を送るための情報と支援を提供しているサイトです。
競合サイトのアクセス分析
競合サイトのアクセス分析をするのに便利なのが、『SimilarWeb』というツールです。


引用元:https://www.similarweb.com/
『SimilarWeb』に競合サイトのURLを入力すると、検索ランキング・訪問者数・平均滞在時間・平均PV・平均直帰率などがわかります。
また、流入経路も調べることが可能で、SNS・インターネット広告・検索エンジン・直接アクセス(ブックマーク・お気に入り)など、どこから流入しているのかが詳しくわかるため、集客の参考になるでしょう。
競合となるペットポータルサイトのアクセスを分析
実際に『SimilarWeb』を使って、ペットポータルサイトのアクセスを分析してみましょう。
例として、下記3サイトのアクセスを分析しました。
※分析結果は2025年4月時点のデータです。現在のデータとは異なる場合がありますのでご了承ください。
ペットのおうち


ペットのおうちは、里親募集専門のポータルサイトです。
犬や猫はもちろん、小動物や鳥、爬虫類など、さまざまなペットたちの情報が全国から集まり、地域や種類、性格などの条件で探すことができます。
事情があって手放された子や、保護団体によって助けられた子たちが、もう一度あたたかな家庭に迎えられるよう、プロフィールや性格が丁寧に紹介されているのが特長です。
迷子対策として使える「ペットプロフ」や、保護動物への医療支援を応援する「ウェルカムチャレンジ」といった仕組みもあり、飼い主さんと動物、どちらにもやさしい設計がされています。
ターゲットは、これからペットを迎えたいと考えている人や、保護活動に関心のある方。
コンセプトは、“すべてのペットに、あたたかいおうちを”。
命と向き合う出会いのきっかけを、そっと後押ししてくれるサイトです。
直近3ヶ月間の合計訪問者数 | 3,288,000 | |
月間セッション数 | 1,096,000 | |
月間ユニーク訪問者数 | 501,630 | |
平均滞在時間 | 00:03:04 | |
ユーザー1人あたりの平均PV数 | 6.03 | |
直帰率 | 52.61% | |
主な流入経路 | オーガニック検索 | 57.88% |
ダイレクト(直接アクセス) | 34.89% | |
リファラル(他サイトからの流入) | 2.35% | |
主な検索ワード | 保護犬 | |
里親 犬 | ||
保護猫 |
ペット大好き!


引用元:https://www.petoffice.co.jp/
ペット大好き!は、ペットと暮らす方々に向けて、さまざまな情報やサービスを提供する総合サイトです。
最新のペットニュースやイベント情報、ペット図鑑、4コマ漫画など、多彩なコンテンツが魅力です。
また、商品モニターの募集や、ペット保険の比較サービスもあり、飼い主さんがペットとの生活をより豊かに楽しむためのサポートを行っています。
ターゲットは、ペットを家族の一員として大切にし、日々の生活を充実させたいと考える飼い主さんたち。
コンセプトは、「飼い主とペットのライフスタイルを提案する」。
ペットとの暮らしをもっと楽しく、もっと便利にするための情報やサービスを届けてくれるサイトです。
直近3ヶ月間の合計訪問者数 | 89,223 | |
月間セッション数 | 29,741 | |
月間ユニーク訪問者数 | 18,877 | |
平均滞在時間 | 00:00:27 | |
ユーザー1人あたりの平均PV数 | 3.00 | |
直帰率 | 38.29% | |
主な流入経路 | オーガニック検索 | 69.35% |
ダイレクト(直接アクセス) | 22.75% | |
リファラル(他サイトからの流入) | 4.96% | |
主な検索ワード | サビイロネコ | |
犬種一覧 | ||
猫 最高齢 |
itsumo dog


itsumo dog(イツモ・ドッグ)は、愛犬と一緒に楽しめるお店やサービスを探せるサイトです。
旧「ドッグカフェ.jp」からリニューアルされ、全国のドッグカフェや犬同伴可能な飲食店、トリミングサロン、ペットホテルなど、さまざまな施設の情報が掲載されています。
地域やサービス内容、設備などの条件で検索できるので、近くで愛犬と一緒に行けるカフェを探すのに役立ちます。
また、クーポン情報やイベントカレンダー、トリミングカット写真集など、飼い主さんに嬉しいコンテンツも充実しています。
ターゲットは、愛犬とのお出かけを楽しみたいと考える飼い主さんたち。
コンセプトは、「愛犬といつも一緒に、楽しい時間を」。
愛犬との暮らしをより豊かにするための情報やサービスを提供するサイトです。
直近3ヶ月間の合計訪問者数 | 124,350 | |
月間セッション数 | 41,450 | |
月間ユニーク訪問者数 | 27,762 | |
平均滞在時間 | 00:00:25 | |
ユーザー1人あたりの平均PV数 | 1.94 | |
直帰率 | 60.14% | |
主な流入経路 | オーガニック検索 | 61.08% |
ダイレクト(直接アクセス) | 32.17% | |
リファラル(他サイトからの流入) | 2.61% | |
主な検索ワード | 犬連れ 鶯谷 レストラン | |
溝の口 ペット用品 | ||
ドッグメニューのあるドッグカフェ |
成功するペットポータルサイトの特徴
以上のように人気のペットポータルサイトを見ていくと、以下のような共通点があることがわかります。
- ターゲットを明確に決め、そのニーズに合わせた情報提供を行っている
- コンセプトをはっきりと決め、それに合った情報のみを絞って提供している
- 写真などを使って情報を伝えやすく工夫されている
もちろんペットポータルサイトは他にも多数存在するため一概に言えない部分もありますが、月間何万人ものユーザーに利用されるポータルサイトは、ユーザーにとって良質な情報(里親募集やドッグカフェ など)を提供しているサイトであることがわかります。
具体的にコンセプト設計をする方法
これらを踏まえて、コンセプト設計を細かく行っていきます。
新規でポータルサイトを立ち上げる場合、一般的には下記のように考えられることが多いです。
- 「誰に」情報を届けたいのか
- 「どんな価値を」届けられるのか
- 「どういう形で」その価値を届けたいのか
それらを設定することで、サイト内で一貫した発信を行うことができ、選ばれるサイトになっていきます。
具体例を見ていきましょう。
具体例①
誰に:初めてペットを飼う人(主に20〜40代)
どんな価値を:ペットを飼うことのハードルを下げ、ペットとの生活を楽しんでもらえる
どういう形で:飼育準備、品選び、初期のしつけ、健康管理まで、段階に応じて丁寧にナビゲートする。
また、チェックリストやQ&A、地域の相談窓口紹介など、初心者目線のUX設計を心がける。
⇒ コンセプト:「はじめてのペット生活、安心ガイド」
具体例②
誰に:シニア期のペットを飼っている家庭
どんな価値を:シニア期に入ったペットと穏やかに過ごし、何かあった時の備え・安心になる
どういう形で:介護、栄養、見守り、看取りに関する情報とサービスの紹介を行う。
また、動物医療・福祉の専門家監修コンテンツ、訪問ケアサービスとの連携で信頼度強化。
⇒ コンセプト:「老犬・老猫と、最後まで穏やかに暮らす」
このように、自社でのコンセプトをしっかりと決めて、一貫した情報提供ができるように心がけましょう。
そうすれば、サイトへの信用性が高まり「こういう時はこのサイトを見てみよう」と選ばれるようになっていきます。
サイト構築の前に考えておきたい6つのこと


では、ポータルサイトを構築する前にどんなことを考えておく必要があるのかを整理していきましょう。
- リサーチをする
- サイトの目的を明確にする
- 具体的にターゲットを決める
- 差別化する方法を考える
- どんなコンテンツを揃えるか考える
- コンテンツから必要な機能を考える
リサーチをする



今あるペットサイトよりも、もっと一貫した、信頼性のあるペット情報を世の中に広めたい!



自社のペット向け用品・サービスをより多くの人に提供するために、潜在顧客と出会える場所を作りたいなあ。
ペットポータルサイトを立ち上げたい理由には、このような例があるかと思います。
しかし、いきなり何も調べずにコンテンツを組み立てていくのはオススメできません。
まずは、競合となるサイトはどのようなものか、検索上位にはどんなサイトがヒットしているのかをリサーチしていきましょう。
サイトの目的を明確にする



競合他社がペットポータルサイトをリリースしたから、自社でも立ち上げたい!
このように、「ペットポータルサイトを立ち上げること」自体を目的としてしまうと、ほとんどの場合失敗に終わります。
ペットポータルサイトを立ち上げるのは、あくまで一つの手段です。
「ネット上の情報が多く埋もれてしまっているサロンを、独自の視点で取り上げることによって集客のサポートをしたい」など、ポータルサイトを立ち上げることで地域や世の中、ユーザーにどう影響を与えたいのか考えましょう。
具体的にターゲットを決める
サイトの方向性を決めていくには、どの層をターゲットにするかをまず決める必要があります。



誰でも便利に使えるサイトにしたい!
という考えもあるかと思いますが、「万人受けしたい」と考えると誰にも刺さらないサイトとなり、高確率で失敗するので注意しましょう。
具体的にターゲットを決めるには、下記について考える必要があります。
- メインターゲットとするユーザーの属性(一人暮らしのOL、子どものいる家庭、老夫婦 など)
- 性別
- 年齢層
- 関心ごと(保護動物、初心者向けの飼育方法、ペットカウンセリング など)
- 利用目的(トリミングサロンの予約をしたい、情報収集したい など)
一口にペットポータルサイトと言っても、ターゲットの属性によっては必要としている情報が大きく違います。
また、それらが共通していても性別や年齢層によって求める情報は変わるはずです。
大まかなターゲット層だけではなく、ペルソナも設定しましょう。
ペルソナとは、ターゲット層の人物像を具体的にしたものです。
そのポータルサイトを利用するであろうユーザーは、どんなライフスタイルで休日はどう過ごしており、潜在的には何を求めているかなど、実際に存在している人物として描き出していきます。
するとターゲット層が「どの時間帯に、どんなふうに検索をし、予約などの行動を行うのか」が見えてきます。
その行動にあわせたコンテンツを配信することで、集客やアクセス数アップにつながりやすくなります。
例えば、先ほど取り上げた『ペットのおうち』では、ターゲットを”これからペットを迎えたいと考えている人や、保護活動に関心のある方”としているのがわかりますね。


ターゲットを絞ることで、特集や検索条件への導線をわかりやすくしてワンクリックで欲しい情報が届けられるように工夫したり、サイト限定の里親募集などを開催することで「このサイトをきっかけに、保護猫・保護犬をペットに迎え入れたい」に繋がる工夫をちりばめられます。
そうすると、多くのユーザーがサイトを訪問したり、サイトの滞在時間が長くなったりすることにより、結果的にサイトの「お気に入り登録」をして訪れてくれるユーザーを増やすことができます。
差別化する方法を考える
ターゲットが具体的に決まっても、まだコンテンツを組み立てるのは早いです。
既に同じターゲットに向けた競合サイトが存在することがほとんどだからです。
後発で同じことをしても成功する可能性は低いため、既存の競合サイトと差別化をはかる必要があります。
差別化する方法の具体例としては、以下の通りです。
- 専門性の高いサイトをつくることで、ニッチなニーズに対応できるようにする
- 口コミなどの情報の正確性を上げるために、”生の声”を提供できるような設計をする
- 動物の性格やトリマーの人柄などをユーザーに伝えられるようなサイト構造を設計する
このように、他サイトでは行っていないような独自のアイデアを反映させ、差別化を図ってみましょう。
どんなコンテンツを揃えるか考える
ここまで決まったら、ようやく「どんなコンテンツを揃えるか」を考える段階に入ります。
ターゲットによって必要としている内容は変わりますが、一般的にポータルサイトといえば下記のコンテンツを基本としていることが多いです。
- トップページ
- お知らせ(インフォメーション)欄
- 新着情報一覧
- 初めて訪れるユーザー向けのサイト紹介ページ
- 特集ページ
- 記事/コラム
- 検索バー/検索ページ
- 広告バナー
- ランキング
- 利用規約
- プライバシーポリシー
- 免責事項
- 運営会社概要
- お問い合わせフォーム
- リンクについての説明ページ
- 広告掲載についての説明ページ
- サイトマップ
ペットポータルサイトであれば、内容にもよりますが下記のコンテンツも欲しいところですね。
- 口コミ
- サロンの詳細
- オンライン予約システム
- 写真や動画
- 季節やトレンドの特集
この段階では具体的なターゲットや、競合と差別化する方法が決まっているはずなので
「ターゲットがどんな情報を必要としているか」を想像して、揃えるコンテンツを決めていきましょう。
コンテンツから必要な機能を考える
どんなコンテンツを揃えるか決まったら、そのコンテンツを掲載するために必要な機能を考えていきましょう。
一般的に、ポータルサイトに最低限必要とされている機能は下記の通りです。
- 検索
- 新着情報の自動表示
- 記事の投稿
- 検索結果一覧
- お問い合わせフォーム
「ペットポータルサイトに欲しいコンテンツ」から考えるなら、下記の機能も欲しいところです。
- 口コミ投稿機能
- 店舗ページ内での口コミ表示
- 店舗へそのまま電話ができる機能
- サイト内のオンライン予約システム
- 写真や動画を投稿できる機能
- AIチャットボット機能
- マイページ(会員登録)
必要な機能は「このコンテンツを掲載したいからこの機能が欲しい」といったように、コンテンツから考えることをおすすめします。
「競合にない斬新な機能があれば便利そう」など、機能の実装を目的としてしまうと、本来は不要だったはずなのに実装して無駄に開発費が高くなったり、ユーザーにとって価値のない機能になってしまうからです。
リリース後の集客方法


ポータルサイトは作って終わりではなく、リリースしてからが本番です。
リリース後にどうやって集客していくのかを考えていきます。
『SimilarWeb』で調べたように、ポータルサイトへユーザーが流入してくる主な経路は、検索エンジンや外部サイトです。どのような方法で、アクセスを促すことができるでしょうか。


検索エンジン(SEO)
検索エンジンからのアクセスを増やすのに重要なのは、キーワードの選定です。
いわゆるSEO対策を行うことで、ポータルサイトの集客につながります。
キーワードの探し方
キーワードを探す上で有力なツールに、「Google広告」内の『キーワードプランナー』や『Googleトレンド』があります。


『キーワードプランナー』は、検索ボリュームや関連キーワードを調べることが可能です。
今回は、『Googleトレンド』を使ってキーワード候補として「保護猫 譲渡会」を調べてみます。


引用元:Googleトレンド
『Googleトレンド』は、Google での最新の急上昇ワードを、視覚化されたデータとして出してくれます。
周囲での人気度の動向や、地域別人気度、人気関連キーワードを調べることが可能です。
「保護猫 譲渡会」というキーワードで調べてみると、「パナソニック 保護 犬 猫 譲渡会」のように関連キーワードが表示されます。これらの関連キーワードは、記事や特集を組み立てる上での参考になります。
検索結果で上位に表示させるには
しかし、人気のキーワードの上位には、大手のポータルサイトが多数表示されていることが多いです。
では、リリースしたばかりのサイトが上位に表示されるには、どうすれば良いのでしょうか。
結論から言うと、リリースしたばかりのサイトを検索上位に表示させる方法は下記となります。
- 競合性の低いキーワードを見つける
- ユーザーの検索意図に応えたコンテンツを作る
- 競合サイトにはない独自性の高いコンテンツを作る
細かく言えば上記以外にも気をつけるべき点はありますが、検索エンジンからの流入を増やしてポータルサイトの集客につなげるには、これらをすべて兼ね備えたコンテンツをどれだけ多く揃えられるかが鍵となります。


SEO対策はすぐに効果が表れるものではないため、効果が表れるまでに最低でも3ヶ月はかかることは予め受け入れて対策をする必要があります。
外部サイト
ポータルサイトの流入経路として、検索エンジンからの流入に次いで多いのが外部サイトからの流入です。
外部サイトからの流入を増やす方法としては、下記が挙げられます。
- プレスリリースを行う
- 宣伝できるサイトに登録する
- 広告を掲載する
- インフルエンサーに宣伝を依頼する
無料でできる方法ばかりではありませんが、SEO対策は効果が表れるまでに時間がかかるため、外部サイトや広告なども併用して集客を行うことをおすすめします。
ペットポータルサイトであれば、下記のサイトを利用して集客するのがおすすめです。
広告を掲載するならバナー広告よりも、サイトの魅力を詳細に伝えられる記事広告(PR記事)がおすすめです。
掲載期間が決まっているものと、サイトが閉鎖されない限り永続的に掲載されるものがあるので、可能であれば後者のサイトの記事広告をおすすめします。
SNS
X(Twitter)やInstagramなど、SNSでの集客は無料でできるため、活用しないのは損です。
有料で広告を掲載することもできます。
SNSを運用する場合も、「ターゲット層が必要としている情報」が何かを考え、それを発信していくことで、フォロワーが増えてサイトの集客に繋がっていきます。
ただ運用すれば良いわけではなく、お知らせのみのアカウントや、スタッフの日常などは投稿しても伸びにくいです。
ポータルサイトの多くは記事コンテンツがあるので、記事の内容をSNS向けに簡略化したものや、ユーザーの視覚に訴求できる髪型やスタイルアップなどの写真や動画を投稿するのがおすすめです。
ポータルサイトを構築するには


ペットポータルサイトに限らず、ポータルサイトが成功するかどうかは構築前にほとんど決まっていると言っても過言ではありません。


ターゲット層が具体的に決まり、どんなコンテンツを掲載するか、どうやって集客するかなど、準備をしっかり行ってから本格的にサイトの構築を行っていきましょう。
サイト構築に必要なもの
サイトを構築していくために必要なものは下記となります。
契約関係
- サーバー
- ドメイン
- SSL
サイト内で使用する素材
- サイトのロゴ
- サイト内で使用するテキスト
- サイト内で使用する画像・動画
自社で準備できるものはしておくことをおすすめしますが、内容や予算にあわせて開発会社に相談した方が良い場合もあります。
サーバーなどは知識がないと難しい部分もあると思いますので、弊社では想定されるサイトの規模や機能に合わせて提案させていただいています。
サイト構築の流れ


弊社でのサイト構築のプロセスになります。
他社様では細かい部分が違ってくることがありますが、参考にしてください。
ご依頼いただいた内容を基に、見積書を作成いたします。見積もり内容に納得いただき発注いただけましたら、正式に契約となります。
要件定義にてご依頼内容の詳細を詰め、お客様がイメージされているものを具体的にしていきます。
その後、具体的に決まった内容をシステム・デザイン面の要件としてまとめる概要設計を行い、詳細設計にて概要設計の内容を、開発時の設計書まで落とし込んでいきます。
設計書に沿って、実際に構築をしていきます。
テスト段階では、要件定義・設計にそって開発できているか、動作不具合がないかをまず社内で確認いたします。
次にお客様にも要件定義の内容を満たしているか、動作不具合がないか、品質に問題がないかをご確認いただきます。
お客様によるご確認で、新たに発生した軽微な修正も行い、その修正に対してテストを行うことを繰り返していきます。
テストが完了したら、いよいよサイトのリリースです。
注意したいのは、テスト段階で発生しなかった不具合などが発生する可能性があることです。
これはテスト段階とは違い、同時に多くのユーザーがアクセスすることで初めて表面化する不具合があるためです。
リリース後の不具合には迅速に対応し、安定して運用ができる状態にしていきます。
制作費用
ポータルサイトの制作費用については、弊社で制作する場合は下記が目安となります。
初期費用:250万円~
(内訳:デザイン・コーディング: 100万円~ / システム開発: 150万円~)
月額費用:4万円~
(内訳:お問い合わせ対応 / サービス監視 / 問題発生時の原因調査・復旧対応)
※サーバー・ドメイン・SSL・メルマガ配信ASPに関する費用は除く
必要な機能や納期によって大きく変わりますので、詳しくはお問い合わせください。
制作期間
必要な機能によって変わりますが、最短で1か月程度となります。
弊社はポータルサイトの開発を得意としており、何かと必要な機能が多く納期が長くなりがちなポータルサイトも短い納期での開発が可能です。
他社で断られた場合でも、お気軽にお問い合わせください。
お客様からのよくある質問


弊社で今までにお客様からいただいた相談の中で、よくある質問とその回答をまとめました。
- デザインは自由に変更できますか?
-
見積の範囲内でできる内容であれば、対応可能です。
当初の見積の範囲を越えた変更をする場合は、別途費用を請求させていただきます。 - サイト構築前の準備が重要と聞きますが、マーケティングの知識がなく、戦略をどうやって立てればいいかわりません。
-
弊社は開発だけでなくWEBでの集客支援も行っていますので、戦略についてもお気軽にご相談ください。
マーケティングの知識がなくても、お客様の目的やご希望をヒアリングし、実現できるプランを提案させていただきます。 - サイト構築後もサポートはしてもらえますか?
-
もちろん、サイト構築後もサポートいたします。
保守が続く限り不具合の修正などに対応させていただくほか、アクセス数を伸ばしたいなどのご相談も承ります。 - 記事の書き方がわからないので、記事コンテンツの制作もお願いできますか?
-
別途費用をいただきますが、対応可能です。お気軽にご相談ください。
- スマートフォンからのアクセスを増やしたいです。
-
ペットポータルサイトはPCよりもスマホで閲覧するユーザーが圧倒的に多く、スマホの最適化は大前提として行いますのでご安心ください。
スマホで閲覧した際の表示スピードや軽さへの対応が、検索順位にも大きく影響します。ターゲットユーザーやサイトで取り扱うテーマによっては、スマートフォンよりもPCでの最適化を優先した方が良い場合もありますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
20年以上Web構築に携わる弊社の目線で、競合分析や運用、サイト構築のフローについて詳しく解説していきました。
ペットポータルサイトは数多くありますが、結局のところ、勝負すべきところは独自性です。
自社の魅力を最大限発揮できるようなペットポータルサイトを作りたいとご希望の企業さまは、ぜひ一度弊社へのご相談もご検討いただけると幸いです。
また、セルバでは『セルバポータルサイト構築CMS』というサービスで、サイト構造にこだわりながらも、ゼロから作るよりも構築費用が安く、セキュリティの高いサイトを構築可能です。
また、サイトリリース後の集客支援なども行っているため、サイト運営が軌道に乗るようなサポートもさせていただいております。よろしければぜひご検討くださいね。

