なぜ人はクチコミをするのか? 心理学からみたクチコミ投稿を増やすコツ

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クチコミで売上を増やした老舗和菓子

クチコミが広がっていくことで得られる効果は、ここ数年でかなり注目されるようになっています。

とくに、ECサイトや飲食店サイトといったユーザーとの距離が近いサイトであれば、良いクチコミの拡散は、顧客や収益の拡大に直結していきます。

実際に、運営するサイトで、良いクチコミを起こそうと試行錯誤しながら、内容を考えてらっしゃる方も、少なくないのではないでしょうか。

【引用:https://www.facebook.com/kuzumochi.funabashiya/reviews?ref=br_rs

クチコミを活用した成功例として、くず餅の老舗「株式会社船橋屋」(以下、船橋屋)があります。

【引用:http://www.funabashiya.co.jp/

「船橋屋」は、2012年からFacebookを開始。同社の社員や、顧客同士でクチコミが広がり、Facebookページの「いいね!」は2万件を突破して、売上にも貢献します。

とくに30~40代のビジネスパーソンの男性から、親への贈り物としてくず餅が支持されました。結果的に、通販の売上は、2012年度は前年比で約15%、2014年は8%の増加。(参照元:http://www.nikkei.com/article/DGXKZO91482770Y5A900C1H56A00/

サイトを運営する立場としてクチコミは、重視したいコンテンツです。

そこで、今回は、クチコミを投稿してもらうために、心理学を応用させたコツを紹介します。

クチコミを商品購入時に参考にしている人は6割弱

【引用:http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=5840

マイボイスコム株式会社による『ネット上の口コミ情報』に関する調査によると、クチコミを商品購入時に参考にしているユーザーは6割弱を超えています。

見込み客としては、「本当にこの商品を買って、満足できるだろうか?」「ほかにもいいモノがあったらどうしよう?」といった不安があります。

商材・サービスを提供する立場からよりも、実際に利用しているユーザーからの本音や評価の方が、共感できますし、説得力があります。

このリアルなクチコミが、見込み客の安心感を抱かせて、購買意欲を高めます。
一方で、実際のユーザーは、なぜクチコミをしてしまうのでしょうか。

クチコミをしてしまう人の心理

大前提として、今はクチコミという個人の発信する情報に、価値がある時代です。

とくに2000年代以降、SNSやクチコミサイト、動画共有サイト、ブログポータルは、CGM(Customer Generated Media)と呼ばれ、メディアや企業だけではなく、消費者が日常的に情報を生成する環境が整いました。

こうして一個人が提供する情報にも、価値が生まれたのです。ここで伝えたいのは、クチコミする人には、「自分が発信する情報には価値がある」または「価値のある情報を届けたい」という、心理があるということです。

では、どういう人がクチコミに価値を感じるでしょうか。

【引用:http://matome.naver.jp/odai/2138276425484692401

心理学者のA・H・マズローは、人間の欲求を6段階にわけて提唱しました。
人は、下の欲求が満たされると上の階層の欲求を求めていきます。

よくSNSで見かける「こんな料理を作りました」「友人とランチしました」「温泉に旅行へきました」といった投稿の多くは、人に認められたい・自分をよく見せたいという「尊敬・評価の欲求」から来ています。

例えば、Facebookで「いいね!」や、友人からのコメントがつくことで満足感を得ることができます。
冒頭で紹介した船橋屋では、夏の目玉商品であるかき氷を、食べた客が写真付きでFacebookに投稿したようです。
その投稿がきっかけで、Facebookユーザーが店舗に足を運ぶ動機になりました。

このようなクチコミは、ユーザーの欲求を満たしながら、来店・購入を促進させることも可能となるので、有効な手法だと考えられます。

マーケティング3.0のクチコミ

そして6段階目には、自己実現を超えた理想のコミュニティを実現する欲求が提唱されています。
この欲求は、よりよい社会を協働してつくりたい価値観をもとにしたものです。

【引用:http://cookpad.com/

この消費者志向は、価値観が主導で進む「マーケティング3.0」とも呼ばれています。
例えば、料理系SNS「クックパッド」では、一般のユーザーが考えたレシピを投稿することで、ひとつの大きなメディアが作られています。

明治製菓株式会社といった食品メーカーとコラボして、ユーザーからチョコレートなどの食材を使ったレシピを応募するキャンペーン(参照元:http://cookpad.com/pr/tieup/index/644)でも、投稿を促すことに成功しています。

ユーザーが、クチコミをすることで、ほかのユーザーと一緒に、よりよいサイトやコミュニティを作っていく、そのような仕組み作りも、マーケティング3.0の時代には有効です。

返報性の法則を逆利用してクチコミ投稿を生む

違う角度からいうと、報酬や特典をつけることでクチコミ投稿を生む方法もあります。

人には、受けた恩は返したいという返報性の法則が働きます。この法則を、逆利用してしまう方法です。

具体的には、クチコミを必須条件にすることで、送料無料・商品割引にしたり、ポイント獲得や特典アイテムをプレゼンしたりするといった内容です。

【引用:http://www.softbank.jp/mobile/special/lifetime_talk/?adid=isshCPb13041807

2013年のことですが、ソフトバンク株式会社は、Facebookページ1周年記念として「ケータイ代一生分無料キャンペーン」をFacebookユーザー向けに実施しました。15万人以上の応募があり、大きな話題を呼びました。

このような方法は、お金でクチコミを買うようにも捉えられます。しかし、さきにメリットを受けているユーザーから評価される可能性が高いため、堅実なアプローチの1つだといえます。

まとめ

欲求・法則事例
尊敬・評価の欲求◆SNSで見かける「こんな料理を作りました」「友人とランチしました」「温泉に旅行へきました」といった投稿の多くは、人に認められたい・自分をよく見せたいという欲求。
◆(例)船橋屋では、夏の目玉商品であるかき氷を、食べた客が写真付きでFacebookに投稿。その投稿がきっかけで、Facebookユーザーが店舗に足を運ぶ動機になった。
理想のコミュニティを実現する欲求◆よりよい社会を協働してつくりたい価値観をもとにしたもの。
◆価値観が主導で進む「マーケティング3.0」とも呼ばれている。
◆(例え)料理系SNS「クックパッド」。一般のユーザーが考えたレシピを投稿することで、ひとつの大きなメディアが作られている。
返報性法則の逆利用◆報酬や特典をつけることでクチコミ投稿を生む。
◆クチコミを必須条件にすることで、送料無料・商品割引にしたり、ポイント獲得や特典アイテムをプレゼントしたりする。

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