映画とポップコーンの組み合わせは、現在は当たり前とされ、馴染みのあるものになっていますが、実はこの組み合わせには長い歴史と驚くべき背景があります。
今回はマーケティングの視点で、その歴史と理由を探ります。
「映画とポップコーン」の起源
初期の映画
映画館でポップコーンが定番となった理由には歴史的な背景があります。
昔の映画は音声のない無音（サイレント）映画でした。
そのため、音の出る食べ物を映画館で食べることは敬遠され、飲食が禁止の映画館も存在しました。
当時の映画は裕福な人や教養のある人をターゲットにしており、誰もが気軽にみられるような現在の映画とは大きく違うものでした。
映画の大衆化
1927年に音声付きの映画（トーキー映画）が公開され、映画が一気に大衆向けの娯楽となりました。
それまでは敬遠されていた食べ物を食べながら観るスタイルも浸透していき、映画館周辺の露店でポップコーンを買って持ち込む文化が流行しました。
ポップコーンは安価で提供されていることや、見た目の華やかさもあり、映画館の食べ物の定番となりました。
「映画でポップコーンを投げる」の歴史
映画館でポップコーンを投げる習慣は、実際にはあまり一般的ではありませんが、その起源にはいくつかの理由があります。
以下に具体的な理由をいくつか説明します。
ポップコーンを投げる理由
映画でポップコーンを投げる一般的な理由は、高い入場料を払ったにも関わらず、映画がつまらなかったことに対するブーイングの意味です。
一部の説によれば、ポップコーンは音が静かで映画の音声を遮らないため、映画館での食べ物として選ばれたとされています。
また、スクリーンを壊す心配もないため思い切り投げられたという理由もあるようです。
しかし、これはあくまで一説であり、確証はありません。
映画館の収益向上
映画館は映画の上映だけでなく、飲食物の販売でも収益を上げています。
ポップコーンは原価も安く手軽に提供できるスナックであり、映画館の収益を増やす一因となりました。
ポップコーンが映画館での定番となったのは、その手軽さ、安価さ、そして大衆の好みに合ったことが影響しています。
「映画でポップコーン」に対する観客の意見
ポップコーンを食べる際の音が映画鑑賞に与える影響は、観客によって意見が分かれます。
肯定的な意見
①美味しい
映画館で提供されるポップコーンは、特別なポップコーンマシンと、独自の調味料によるものです。
映画館のポップコーンは、映画を見ながら味わう特別な体験の一部となっています。
②定番になっている
ポップコーンを食べる音が映画館体験の一部になっており、それを楽しみにしている人も多くいます。
③映画館の利益
映画館の利益にとって重要な収入源になっています。
映画館の設備を維持するためにも欠かせない収入源です。
否定的な意見
①うるさい
食べているときの音が映画の雰囲気を壊してしまうと感じる人もいます。
②ゴミの問題
暗闇で食べることになるため手が滑ってこぼしてしまう人は多くいるでしょう。
こういったゴミに不快感を持つ人が多いようです。
③不衛生
食べた手で暗闇の中で椅子などに触れることは衛生的に悪い感じる人も多いようです。
「映画のポップコーン」が食べきれない問題
映画館で提供されるポップコーンの量は圧倒的です。
巨大なバケットに溢れんばかりのポップコーンは、映画が終わるまでに全て食べきることが難しいと感じる観客も少なくありません。
しかし、これには理由があります。
あえて食べきれないほどの量に設定している理由はいくつか考えられます。
- 経済的な観点
- 顧客満足度の向上
- 社会的な文化
経済的な観点
ポップコーンは原価が安いため、安価で大量に提供できます。
量が少なければその分販売価格を安くしなければなりませんが、量が多ければその分販売価格を高くできます。
映画館は客単価を高くして利益を最大化するために、ポップコーンの量を多くしていると考えられます。
顧客満足度の向上
少量のポップコーンよりも、大量のポップコーンの方が見栄えも良く観客のテンションも上がります。
「ポップコーンを食べるまでを含めて映画鑑賞」という文化が定着しているため、食べきれなくてもポップコーンを買うことで観客はより映画を楽しむことができるので、顧客満足度の向上につながっています。
社会的な文化
映画館は家族や友人と一緒に楽しむ人も多いです。
1人分としては量が多すぎて買うのをためらうポップコーンも、複数人で分け合う前提なら気軽に買うことができます。
ポップコーンを分け合うことでコミュニケーションになり、映画館の売上も上がります。
映画のポップコーンはなぜあの値段？
映画館でのポップコーンの価格は、一般的にはスーパーマーケットで購入するものと比べて高いものです。
これは映画館が映画の上映以外にも利益を上げる必要があるからです。
映画を観るにはチケットを購入する必要がありますが、チケット代だけでは利益を上げるのは限界があります。
前述の通り、ポップコーンは原価が安いため利益率は非常に高く、映画館の収益を支える重要な要素となっています。
お祭りでは多少価格が高いものでも雰囲気にあてられてつい買ってしまうことが多いですが、映画館のポップコーンでも同じことが起こっています。
「ポップコーンを食べるまでを含めて映画鑑賞」という文化から、多少価格が高くても好んで買う観客は多いため、わざわざ価格を下げる理由がないのです。
まとめ
ポップコーンが映画館での定番となった理由は多岐にわたります。
映画とポップコーンの長い歴史、映画館の商業的な必要性、そして何よりも観客が映画を楽しむ体験の一部としてポップコーンは愛されています。
映画を見る際は、ポップコーンを手に取り、その歴史と背景を思い浮かべながら楽しんでみてください。
