AIアプリ開発を開発会社に依頼する流れ
自社のAIアプリを開発したいけれどエンジニアが不在または足りない場合、システム・アプリの開発を行っている会社に依頼するのが一般的です。
弊社の場合、アプリ開発を依頼いただいた際の流れは下記の通りです。
- ヒアリング・提案
- 要件定義・設計
- 開発・テスト
- 納品
各段階でコミュニケーションを密に行い、お客様の要望に合わせたAIアプリを開発していきます。
基本的には、AIを使わないアプリの開発と流れは大きく変わりません。
ヒアリング・提案
まずはヒアリングを行い、お客様の要望や課題を確認します。
次に、提案を行い、どのようなAIアプリを開発するのか、どのような技術を使って開発するのか、どのような効果が期待できるのかをご提案します。
要件定義・設計
要件定義の段階では、開発するAIアプリの具体的な要件を定義します。
設計の段階では、AIアプリの構成や機能、開発の進め方などを設計します。
開発・テスト
設計に基づいてAIアプリの開発を行います。
テスト段階では、開発したAIアプリが正常に動作するかどうかを確認します。
納品
最後に、納品を行い、お客様にAIアプリをお届けします。
AIアプリ開発に必要な知識・技術
AIアプリを開発するために必要な知識・技術は、大きく分けて次の3つです。
- データ収集
- AIエンジンの選定・機械学習
- アプリ構築
データ収集
データ収集は、AIアプリを開発する上で非常に重要なプロセスです。
AIアプリは、データを元に学習し、予測や判断を行います。
そのため、AIアプリが正確に予測や判断を行うためには、AIアプリに必要なデータを収集することが必要です。
例えば、あるAIアプリが「車両の画像から車種を判別する」ことを目的としている場合、まずは車両の画像を多数集める必要があります。
そして、AIアプリに画像を学習させることで、AIアプリは車種を判別することができるようになります。
AIエンジンの選定・機械学習
AIアプリを開発するためには、AIエンジンと呼ばれる特別なソフトウェアを使用する必要があります。 AIエンジンは、機械学習と呼ばれる技術を使用して、AIにデータから学習させることができます。
機械学習は、AIがデータからパターンを見つけることを可能にするため、AIアプリ開発に非常に重要です。
例えば、ある写真に写っている人の名前を判別するためには、AIエンジンに多数の写真とその人物の名前を学習させる必要があります。
この学習のプロセスが機械学習であり、AIエンジンがその学習を行うために必要となります。
アプリ構築
AIアプリを開発するには、AIエンジンや機械学習の知識だけでなく、通常のアプリ開発に必要な知識と技術も必要です。
通常のアプリ開発に必要な技術としては、以下のようなものがあります。
- プログラミング言語(例:Java、Python、Swiftなど)
- アプリケーションフレームワーク(例:React Native、Flutterなど)
- データベース
- サーバー構築
AIアプリ開発に必須なツール・フレームワーク
開発会社に依頼する場合は知識がなくても問題ないため、各ツール・フレームワークについての詳しい説明については割愛いたしますが、具体的には下記のツール・フレームワークが必須となります。
- TensorFlow
- Keras
- PyTorch
- scikit-learn
- OpenCV
- Pandas
- NumPy
- Matplotlib
AIアプリ開発のためのデータ加工・前処理の手法
開発会社に依頼する場合は知識がなくても問題ないため、詳しい説明については割愛いたしますが、AIアプリ開発で使われる主なデータ加工・前処理の手法は下記となります。
- データの欠損値処理
- ノイズ除去
- スケーリング
- フィルタリング
- バイナリ化
- カテゴリ変数の処理
- データの正規化
- データの平滑化
- データの補完
- 特徴選択
【プロが語る】AIアプリ開発で成功するための10の秘訣
AIは大変便利であり、今後さらに発展していくことが予想される将来性のあるツールですが、ただAIを導入したアプリを開発すれば成功するわけではありません。
システム・アプリの開発で20年の実績を持つ弊社セルバが、AIアプリ開発で成功するために重要なことを解説します。
ビジネスでAIを使う目的を明確にすること
AIを活用したアプリを開発する場合、最も重要なことは、ビジネスでAIを使う目的を明確にすることです。
そのためには、まずビジネスの現状を把握し、どのような問題があるのかを洗い出すことが必要です。
例えば、ある企業が顧客の問い合わせに対応するために、AIを活用したアプリを開発しようとしている場合、ビジネスでAIを使う目的を明確にするために、以下のようなことを考える必要があります。
- 顧客の問い合わせの種類は何があるのか?
- どのような問い合わせに対応するためにAIを活用するのか?
- AIを活用することで、どのような効果が期待できるのか?
- AIを活用することで、どのような問題が解決できるのか?
データの品質に注力すること
AIアプリを開発するにあたって、データの品質は非常に重要です。
データの品質が悪いと、AIが正しく学習できず、思わぬ結果が出ることがあります。
データの品質を確保するためには?
データの品質を確保するためには、以下のことが必要です。
- データの正確性を確認する
- データの一貫性を確認する
- データの完全性を確認する
- データの信頼性を確認する
データの品質を確認する方法
データの品質を確認する方法は、以下のようなものがあります。
- データの重複を確認する
- データの欠損値を確認する
- データの外れ値を確認する
- データの異常値を確認する
モデルの最適化に時間をかけること
AIアプリ開発において、最も重要な作業の一つが「モデルの最適化」です。
モデルの最適化とは、AIが学習するための「モデル」を、より正確にすることです。
モデルの選択に慎重になること
AIアプリ開発を成功させるためには、モデルの選択に慎重になることが重要です。
モデルとは、AIが学習するための「設計図」のようなもので、モデルの選択次第でAIアプリの性能が大きく変わります。
例えば、数学の問題を解くときに、どの公式を使うかを選ぶことが重要ですよね。
間違った公式を使うと、答えが間違ってしまいます。 同じように、AIアプリ開発でも、どのモデルを使うかを選ぶことが重要で、間違ったモデルを選んでしまうと、AIアプリの性能が低下してしまいます。
モデルの選択を行う上で、下記のことに注意する必要があります。
- AIアプリの目的に合わせたモデルを選ぶこと
- 他の人が使っているモデルを調べること
- 複数のモデルを比較すること
モデルの解釈性について考慮すること
モデルの解釈性とは、AIがどのようなデータから判断を下したのかを理解することができるかどうかということです。
例えば、あるAIアプリが「あなたがこの商品を購入する確率は70%です」と判断を下した場合、その判断がどのようなデータから導かれたのかがわかるかどうかということです。
モデルの解釈性が高い場合、AIがどのような判断を下したのかを理解することができます。
そのため、AIアプリの品質を向上させることができます。
例えば、あるAIアプリが「あなたにとって最適な商品はAです」と判断を下した場合、その判断がどのようなデータから導かれたのかがわかれば、どのような商品が自分に合うのか理解することができます。
データの可視化を活用すること
AIアプリ開発において、データの可視化は重要です。データの可視化により、以下のメリットがあります。
モデルの評価指標を慎重に選択すること
AIアプリ開発で成功するためには、モデルの評価指標を慎重に選択することが必要です。
モデルの評価指標とは、AIが正確に学習しているかどうかを評価するための指標のことです。
例えば、あるAIアプリが「犬と猫を判別する」ことを目的としている場合、モデルの評価指標は「正解率」や「適合率」、「再現率」などがあります。
「正解率」は、AIが正しく犬と猫を判別できた割合を示し、「適合率」は、AIが犬と判断したもののうち本当に犬だったものの割合を示し、「再現率」は、犬と判断すべきもののうち、実際に犬と判断できたものの割合を示します。
モデルの評価指標は、AIアプリの品質を向上させるために非常に重要です。
ただし、モデルの評価指標は、AIアプリによって異なるため、目的に合わせて選択する必要があります。
モデルのトレーニングに時間をかけること
モデルのトレーニングに時間をかけることが重要なのは、時間をかけることでモデルがより正確に学習できるためです。
モデルはデータを学習するために、多くの時間を必要とします。
時間をかけずにモデルをトレーニングすると、モデルが正しく学習できず、思わぬ結果が出ることがあります。
そのため、モデルのトレーニングに時間をかけ、データを繰り返し学習させることが重要です。
ハイパーパラメータの調整に時間をかけること
ハイパーパラメータとは、モデルが学習するために必要な数値のことです。
ハイパーパラメータの調整に時間をかけることで、モデルの正確性を向上させることができます。
ハイパーパラメータを調整することで、モデルの学習率や学習時間などを最適化することができます。
モデルの最適化には、ハイパーパラメータの調整が必要不可欠であり、そのために時間をかける必要があります。
定常的なモデルメンテナンスを行うこと
AIアプリ開発を成功させるためには定常的なモデルメンテナンスが必要です。
モデルは常に変化していくため、メンテナンスを怠ると、モデルの正確性が低下したり、予期せぬ結果が出ることがあります。
定常的なメンテナンスを行うことで、モデルの正確性を維持し、AIアプリの品質を向上させることができます。
AIを活用したアプリには具体的に何がある?
AIを活用したアプリは多数ありますが、下記のアプリは特に有名です。
AIアプリ開発を成功させるには、「このアプリは何故多くのユーザーに選ばれているのか」を考えることも重要です。
SNOW
SNOWは、AIを使って顔に様々なエフェクトをかけることができるカメラアプリです。
顔のラインを整えたり、目や口を大きくしたり、肌をキレイにしたりすることができます。
誰でも簡単に使えるように設計されています。
メルカリ
メルカリは、AIを使って商品の価格設定を自動的に行っています。
出品者が商品を登録すると、AIがその商品の特徴を分析し、適切な価格を設定することができます。
また、類似する商品の価格も分析することで、より適切な価格を設定することができます。
これにより、出品者が手動で価格を決める手間を省くことができ、さらに購入者にとっても、適正価格で商品を購入できるようになっています。
UberEats
UberEatsは、AIを活用して、より効率的に配達を行っています。
AIが配達を依頼した場所や時間、料理の種類などを分析し、最適なルートを算出することができます。
また、配達員のスケジュールや現在地も分析し、配達の予測時間をより正確に算出することができます。
これにより、配達員の負担を軽減し、顧客により迅速な配達を提供することができます。
Netflix
Netflixは、AIを活用して視聴履歴、評価履歴、視聴時間、視聴環境などの情報を収集し、ユーザーにとって最適なコンテンツをおすすめしています。
例えば、あるユーザーが「SF映画」をよく視聴している場合、Netflixは他のSF映画を推薦することができます。
また、Netflixは、特定の俳優や監督、あるいはテーマ(例えば「環境問題」など)に関連するコンテンツを推薦することもできます。
これにより、ユーザーはより興味深いコンテンツを見つけやすくなり、Netflixはユーザーにとってより魅力的なプラットフォームとなっています。
FANCL
FANCLのアプリでは、顧客が自分の肌の状態を入力することで、AIが肌の状態を分析し、最適な化粧品を提案することができます。
また、アプリで肌の変化を記録することができ、より適切なアドバイスを受けることができます。
これにより、顧客は肌に合った化粧品を迷わずに選ぶことができ、肌トラブルを効率的に解消することができます。
まとめ
- AIアプリの開発を開発会社に依頼する場合、AIを使わないアプリと開発の流れは大きく変わらない。
- ただAIを導入したアプリを開発すれば成功するわけではなく、ビジネスでAIを使う目的を明確にしたり、データの品質等に気を配る必要がある。
- AIアプリの開発を成功させたいなら、既にAIを導入している有名なアプリを参考にすることも重要。
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